それぞれの民族の中に外来語があるのは決して日本語だけの特殊な現象ではない。ヨーロッパの各民族言語には、いずれも大量の外国語が入っているし、もちろんアジア諸国にもそのような現象は見られる。そしてその成り立ちにはそれぞれの歴史的、社会的原因がある。しかしそれにしてもどうして日本は外来語が多いのだろうか?その原因を以下にまとめてみる。
@ 客観的な必要性 ある民族が他民族の言語に触れたとき、自分たちの言語に訳せる適当な言葉が見つからなかったり、訳してもぴったりとこない場合そのまま外来語を借用することがよくある。明治維新の前にせよ、後にせよ日本が欧州諸国から大量の言葉を取り入れたのは、おしなべてこのような客観的必要性からであったといえる。もちろん明治のはじめ、新しい概念、事物を表現するために、当時の学者たちは漢語の形式を用いて多くの新語を創造している、例えば汽車、洋服、公園、電報、商業、芸術、分析などがそれだが、漢語と形式を用いるだけでは間に合わなくなってきたばかりか、同音の言葉が増えて聞き分けにくくなってしまった。そのためこのようなことから起こる混乱、不便さを避けるために外来語が発生した。
A 外国崇拝の思想 日本のある学者は、外来語の氾濫を「日本人が外来の事物に対して旺盛な好奇心を持っていることの表れである。」とし、またある学者は「一種の植民地的な現象だ。」と見ている。日本の知識分子の中には、習い覚えた英語・フランス語の語彙を、そのまま日本語に交ぜて使いたがるという傾向がある。それによって「並の者とはとは違うんだ!」ということを誇示しようとするのである。聞いた人は、よしんば解らなくても、たずねるのはバカにされそうで工合が悪い。このようにして、本来使わなくてもよい外来語が使われるという現象は外来語増加の一因となっているのである。
B マスコミの作用 日本の新聞、テレビの普及率は非常に高く、その影響力は計り知れない。新語が生まれて新聞雑誌、テレビ・ラジオでひとたび使われるとたちまち伝播していくのである。おおまかな統計によると、新聞記事の中で外来語は約10%を占めるが、テレビ・ラジオで使われる外来語の比重はもっと大きい。テレビの番組名を見るだけでもそれは明らかである。雑誌の名前も外来語だらけで、むしろそれを使わないものを探す方が大変かもしれない程である。
C 外来語をよく使う広告の影響 日本の企業、特に化粧品、医薬品、家電関係などの企業はその外来語が一般に知られていようがいまいが好んでよく使う。日本人にあまり知られていない外国語を使うことで消費者に強く印象づけ、その商品を際だたせることがその理由のひとつである。また一般的な日本人の傾向に、もしその言葉が誰もが知っていないものであると高尚で優雅で、権威もしくは威厳を感じるらしい。企業の経営者はこうした人々の心理を利用して、ますます派手に外来語を使うのである。これは上記のAに大きく関係したことと言える。 |